一生青春「春」[芸術公論91号]
”巧妙にして生彩のある書”
土田帆山氏は日展に九回入選したが、考えることがあって、日展出品を止めた。しかし、書を書くことを止めたのではない。一生青春で、死ぬまで元気に書を書くことを願っている。純真な精神の人である。今までに毎日大賞・福井県文化賞・文部大臣賞を授与された栄誉に輝いている。
現在、日本書道連盟評議員・毎日展参与・理事・独立書人団理事になっている。さらに洗心書道会の代表として、書の発展向上に尺力している。帆山氏は真に書を愛する人であり、書に熱心であることは人後に落ちない。それ故、日展出品を止めて、いたずらにみえを張ることなく、ひたすら努力精進している。そして、五年毎に個展を開催するという熱意もまた人後に落ちない人である。
帆山氏の作品「春」は生涯青春であることを祈って書いた。それ故、巧妙な書である上に作品に生彩がある。生彩は帆山氏の精神の顕現である。生彩のある書は美しい。(文・春名好重)
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芸術公論91号