2001「秀」 毎日書展 53回[]
「秀」 小野寺啓治 論評
土田帆山は、福井県の武生市に住み、独立書人団が中心になって展開する大字書の主要メンバーの一人となっている。この独立書人団は、手島右卿を中心に昭和二十六年に創立された新しい現代書の旗頭を務め、現代派の作家が集う毎日書道展の中核を占めている。
帆山は、独立書人団の創立メンバーの一人で、その書は、造形性を誇張する極端なディフォルメなどの表現をとらずに、純正な形を踏みながら、その上で豊かな造形の表情を生み出している。これは幹事の本質的な形を尊重し、そこから大きく飛躍するところに、足下の想像力を見せることになる。この「秀」は、あくまでも深く遠くを見透かすように、包み込んだ懐は広く深い。と同字に、線もまた広く深く広がって大空をうごめき、勇壮な姿を示す。
この作は、従来の書にはないが、書でしか表せない内面的な表情を、感覚的に表出しているのが大きな特色である。素材の文字と表情が、これを導き出しているのである。 2001年 第53回毎日書展
「アートマインド」No118 2001,11月号
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